腎臓が正常に働いていない患者に対して、血液中の老廃物を体外に排出する治療を人工透析といいます。人工透析には、専門の医療機器を使用して体外に出した血液を浄化したうえで体内に戻す血液透析、腹部内に透析液を入れて血液を浄化する腹膜透析の2通りあるのが特徴です。人工透析が必要な患者は日本に約30万人おり、専門的な知識と技術を持った看護師の必要性が高まっています。
透析に関わる看護師は、透析療法指導看護師の資格を取得することで、より責任の重い業務を行うことが可能です。透析療法指導看護師は、透析医療チームのリーダーとなって、より質の高い人工透析を目指すほか、同じ人工透析に関わるスタッフへの勉強会や研修を開いたり、アドバイスしたりします。また、患者に対する人工透析への不安緩和や指導、生活面のアドバイスも役割の1つです。このように、透析療法指導看護師の資格を取得して活躍することにより、スタッフからも患者からも厚い信頼を得られるでしょう。
なお、透析療法指導看護師は日本透析医学会、日本腎不全看護学会や日本腎臓学会など6学会から認定されている資格です。受験資格には正看護師の資格と5年以上の実務経験、日本腎不全看護学会正会員を継続して3年以上、腎不全看護領域の実務経験が通算3年以上必要です。さらに、ポイント獲得制の対象となる学会やセミナーに出席し、合計30ポイント以上取得しなければいけません。これらの条件を全て満たした看護師が、認定試験を受験できます。